「なんで攻撃」

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2024/1/23更新
(この記事は、2023/8/18に掲載したものを加筆修正の上、再掲しています。)


皆さんは日常生活の中で、こんな言葉をよく耳にしませんか?
「なんで勉強しないの?」
「なんで連絡くれなかったの?」
「なんでミスしたんだ?」


この「なんで」から始まる文章は、一見すると、疑問文のように見えます。
そのため、言われた人は「~だったから」と答えるのですが、
「そんなことを聞いてるんじゃない!」などと、キビシイ言葉が返ってくる。
そんな経験はないでしょうか?

言われた側は、「なんで」と聞かれたから理由や事情を説明したのに、と思い、
「なんでそんなこと言われなきゃいけないんだ!」と言い返して、
そこから言い合いに発展するケースは珍しくありません。
口には出さないけれど、心の中で呟き、心を閉ざしてしまうケースもあります。

実は、「なんで」と言っている側としては、理由や事情を知りたいというよりも、
自分の思い通りでないことに腹を立てていたり、不安や焦りが強くなっていて、
あるいは、悲しさや虚しさを感じていたり、こころが傷ついているときに、
この「なんで」という言葉が発せられることは多いのです。
他のことでイライラして気持ちの余裕がなくなっているときにも使われがちです。

先ほどの例で考えると、こんな言葉が隠れていたりします。
「なんで勉強しないの?(さっきやると言ったでしょ!/このままだと成績が下がっちゃうじゃない)」
「なんで連絡くれなかったの?(心配したでしょ!/私のことなんてどうでもいいのね)」
「なんでミスしたんだ?(この間も言ったのに!/やり直してたら期限に間に合わなくなるじゃないか)」


しかも、自分のこのような気持ちや状態に気づいていないだけでなく、
「なんで」という言葉を使っていること自体に自覚がない場合も多く見受けられます。


言われた側としては、その内容よりも、相手の口調や雰囲気から、
責められているとか、非難されているように感じられるため、
反発したくなったり、自分を守るような言動になったりして、
その結果、「言い訳するな!」という言葉が返ってくることに・・・。



どちらにしても、この「なんで」という言葉には、
知らない間にお互いが振り回され、
不毛な争いが延々続いたり、険悪な関係に陥ったりしかねない、
そんな力が潜んでいるように感じます。

そこで私は、「なんで攻撃」と呼んだりしています。

「なんで」を使わない言い方や、「なんで」と言われたときの対応について、考えたり練習したりすることも重要ではありますが、
自分が「なんで攻撃」を使っていないか、「なんで攻撃」にどう応戦しているか、
まずは、気づくことが大事ではないかと考えます。
皆さんも今週を振り返り、自分が発している言葉を点検してみてはいかがでしょうか?