「休職中の過ごし方 ①」

休職中の方の過ごし方についてのご相談も多くあります。

どうしても仕事に行かれないことが続く、
ある日突然、起きれなくなった、
医師から休むように言われた、
このような出来事は人生でそう滅多にあることではなく、
戸惑う方も多いのではないでしょうか。


足を骨折したり、何かの感染症にかかった場合は、
必然的に休まざるを得ないですし、
回復の見込みについても大体の目安がある場合も多く、
その症状自体は辛いけれど、ある程度の見通しを持つことができます。


一方、そういった明確な症状が見当たらないなかで休むことは、
しかも回復までの見通しを持ちにくいとなると、
本人だけでなく、周りの人にとっても、
どうしたらいいのかわからないという漠然とした不安を感じるでしょう。


それでも、まとまった休みを取ることによって、
朝、「起きなければ」「仕事に行かなければ」
夜は、「明日は行かれるだろうか…」
こういった焦燥感や不安感から解放されることは考えられます。


病院で薬を調整しながら、しばらく服用を続けることで、
体や気持ちが少し楽になったり、
やっと少し眠れるようになったりもあるでしょう。


薬もまあまあ合っているし、眠れるようにもなってくると、今度は、
「薬を飲んでいるだけでよくなるのだろうか」
「何かした方がいいのでは? でも、何をしたらいいのかわからない」
「いつ復帰できるのだろうか」
このような別の不安や焦燥感が語られることも多くあります。


苦しい状況から離れ、多少なりとも気持ちが落ち着く一方で、
人と関わる機会が減ることにもなるため、
心細さや孤立感から不安に駆られても不思議ではないでしょう。


また、何とか踏ん張ってきた心身の疲れや張り詰めていた緊張が
休むことによってようやく出せる、ということもあります。
そうすると、そろそろ活動したいのに、思ったように動けない、
かえって悪化しているのでは?という不安に陥るかもしれません。



そもそも、“ 休む ”ということ自体が、そう簡単なことではありません。
何をしていても身の置き所がないというお話もよく耳にします。
今まで、通勤や仕事に充てていた時間がぽっかりと空白になるため、
どう過ごしたらいいのか、ご本人にとってはとても悩ましい問題です。


時間はあるのに何かをする気力はない、
何もしていないのに疲れてしまう、
今まで興味を持っていたものも楽しめない…
何とも辛い状況です。


インターネットで病気のことを調べてるうちに、
ネガティブな情報が入り込んで不安が増幅してしまうとか、
時間を無駄にしているような気持ちに駆られて、
どうしようもなく気持ちが急いてしまったりも。


「自分が仕事を休んでることで周りに迷惑や負担をかけている」と、
気づいたら、ついつい自分を責めている。
休職前の苦しかった出来事が頭の中をぐるぐる巡って止められない。
それだけで、ぐったりしてしまうことでしょう。


仕事は休めるとしても、
食事の調達や洗濯は自分でやらなければならないとか、
お子さんや介護が必要な方がいらっしゃる場合も、
休むということが難しいのではないでしょうか。


家族や身近な人の病気に対する理解が得られにくい状況では、
休んでいることに罪悪感を感じて、安心して休むことが難しいことも。
体は休みたがっているけれど、
心や頭が休めないでいる状態と言っていいかもしれません。


ハラスメントを受けていた場合などは、
心身のダメージを考えると、ただ休むだけでなく、
もう少し専門的なケアが必要となることも考えられます。



これまで見てきたように、休職に至るまでの経緯や、その方を取り巻く環境、
ライフステージや、元々の体質や気質など、個別の事情があり、
回復への向かい方にも影響し、休み方の難しさも相まって、
休職中の過ごし方をいっそう困難にさせているようにも思います。


そういった状況で、是非、試していただきたいことのひとつ ――
それは、“ 自分の生活や状態を把握する ” ことです。


何時に寝て、何時に起きたか、
何か食べたか、薬は飲んだか、何をしたか、などの行動や出来事、
体の調子・気分、天気などを記録します。


マークや数値で表やすしたり、シールを使うのもよいでしょう。
体調はまあまあだけれど、気分が優れないこともあるかもしれません。
朝はどん底で、夕方から少し動けるという日もあったり。
天候の影響を受けやすい方もいらっしゃいます。


自分がよくなっているのかどうか、漠然としているとわからないもの。
わからないことは不安を呼びます。
まして、調子が悪いときは、
自分の状態に気づいたり覚えておくことが難しくなります。


記録に残しておくことで、
過ごし方の工夫を考えることができますし、
受診の際に医師と話す上でも役に立ちます。


できる範囲でかまいません。
復職に向けて、また、復職してからも、
自分の状態を把握することは客観的に見る材料として参考になります。


スマホやパソコンなどデジタル機器は脳が疲れるため、
できれば、手帳やノートなど、紙ベースでの記録をおススメしていますが、
書くことが負担になるという方は、アプリやカレンダー機能を利用して、
自分の状態を把握するための情報を記録してみてください。


ただし、調子が悪いときには、
紙であろうとデジタルであろうと、
記録することに向かうこと自体が困難だったりもします。
その時は、くれぐれも、やらない自分を責めないように。


それから、毎日つけようとすると、心の負担になります。
できたらOK!
できなくてもOK!
来週はできるかもしれません。


ひとりで取り組むのはハードルが高いという方は、
カウンセラーと一緒に取り組むことから始めてみませんか?